虹のリング

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 宇宙ステーションに何ヶ月も滞在している宇宙飛行士は、雨が降って濡れるということを、すっかり忘れてしまうのだろうか。          ※  彼女が宇宙飛行士になりたいという、そんな途方もない夢を聞かされたのは高校三年の春だった。 「マサヤ君、私ね、宇宙へ行ってみたいの。そして、地球を見下ろして、手の中にすっぽりと地球を包んでみたいな」微笑みながらそう言うナオミを、僕は現実感のない空想としか受けとめられなかった。  彼女は、同じ吹奏楽部でオーボエを吹いていたが、実際はどんな楽器もこなす天才的な高校生であった。
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