銀色の蝶が飛ぶ

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銀色の蝶が飛ぶ

「……と、いう訳なのよ」  叔母が帰宅したのは、翌日の午後。昨日は一晩中、王立図書館の文書庫に隠って、謎の現象を解明してきた。 「はぁ……」  予想外の結論に、困惑する。あたしが繰り出した“天候操作”魔法が不発だったのは、魔術の構文違いが原因だった。 「フツー、術式を間違うと発動しないもんなのよ。それがねぇ……」  なんとも器用なことに、書き間違った構文は“天候操作に“空間転移”を組み込んだ高位魔術に昇華していた。 「あんたのレベルじゃ扱えるはずのない魔法なんだけどね……やっぱり血かしらねぇ」  濃いめのハーブティーをゴクゴクと飲み干して、フーッと深く息を吐く。この件では、王立図書館だけでなく、幾つかの省庁に赴いて直接かけあってきたそうだ。申し訳なくて、あたしは肩をすぼめて頭を下げる。 「それで……あたしは、雨をどこに降らせたんでしょーか」  ソファの背もたれから身を起こすと、叔母は赤髪をバリバリと掻く。 「……異世界よ」 「……へっ?」 「超空間監視委員会(Over Space Patrol Association)の記録に、無許可の“天候操作”魔法の発動記録が7回記されていたわ」  もちろん、法に抵触しないように様々な手続を取ってきたことはいうまでもない。異世界に魔法で干渉することは、厳しく規制されているのだ。 「ホラ、あんたにも見せてあげるわよ。おいで」
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