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三毛猫は口角を上げ口元はニコちゃんマークみたいになっている。これは絶対笑っているよ。まさかじゃなくて笑っているよ。
そして、三毛猫はわたしが差し出していたスイカをぱくっと可愛らしいお口で食べた。
三毛猫も牛柄ちゃんと同様目を細め美味しそうにスイカを食べている。猫の食べている姿は癒しだ。
うふふ、可愛いな。そう思って見ていると、どこかから声が聞こえてきた。
「おばあちゃんも時々スイカを分けてくれるよ。わたしスイカ好きだにゃ」
ん? おばあちゃんがスイカを分けてくれる? スイカが好きだにゃ? えっ! 今、にゃって言ったよね。
「あの誰かいますか? わたしは怪しいものじゃありません」
わたしは、言いながらキョロキョロと辺りを見渡した。けれど、わたし以外に人はいない。いるのは猫だけだ。
牛柄ちゃんと他にも数匹猫がいた。それからわたしの隣にちょこりんこと座っている三毛猫だけだった。
一体誰が喋ったんだろう? 不思議だなと思い首を傾げる。
その時。
「ねえ、お姉ちゃんスイカを分けてくれてありがとう」
また、さっきと同じ可愛らしい声が聞こえてきた。
えっ? この声はまさか‥‥‥。わたしは恐る恐る隣に座る三毛猫に視線を向けた。
「お姉ちゃんどうしたの?」と三毛猫はきょとん顔で首を横に傾げわたしの顔を見た。
こ、これって! ね、ね、猫が喋っている。そんなことってあるの? これは幻聴だよね。
「わたしミケたんだよ。よろしくにゃん。お姉ちゃんお名前は?」
三毛猫改めミケたんが肉球のある前足を口元に当てながら自己紹介をしてきた。やっぱり喋っている。
なんて呑気なことなんて言ってられない。
「ぎゃああ! ね、猫が喋ったーーー!」
わたしは悲鳴をあげた。だって、猫が喋ったんだよ。
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