40人が本棚に入れています
本棚に追加
わたしは三毛猫から目を逸らし慌てて立ち上がった。だって、猫が喋っているなんて怖すぎるもん。
これは怖いよ。家に帰ろう。ぼうぼうに生えている雑草もなんだか不気味に感じるよ。
うん、帰ろう。そう思いながらちらっと三毛猫に視線を向けた。
すると、三毛猫が五歳くらいの女の子に見えた。
え! えー! ウソでしょう。
「お姉ちゃんどうしたの? スイカ美味しいね」
三毛猫、いや、女の子はにっこり笑いながらスイカを食べている。
「う、うぎゃーーー! ね、猫のお化けだ~!」
わたしは悲鳴を上げた。わたしは腰を抜かしそうになりながら走り出した。
「あら、悲鳴が聞こえたみたいだけどどうしたの? お嬢ちゃん帰るの?」
縁側からおばあちゃんの声が聞こえてきた。
わたしは振り返らず「ごめんなさい。用事ができました」と言って駆け出した。
だって、振り返ると人間になった三毛猫がわたしを見ているような気がするから。
わたしは気がつくと家の前に立っていた。あまりにもびっくりしてどうやって帰ってきたのかもわからない。
ハァハァと息が切れている。おもいっきり走ったという証拠だ。
玄関のドアを開けて家に入る。
「おかえりなさい」とお母さんの声が聞こえてきた。
「ただいま」
お母さんはパートから帰ってきたんだ。良かったとほっとした。
この日は夕飯を食べ終えると布団にくるまり速攻寝た。
最初のコメントを投稿しよう!