41人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
美紀香ちゃんがいるから学校に行くのが楽しい。だけど、最近悩みもある。四年生までは、みんな仲良しって感じだったのに五年生になるとちょっと違ってきた。
これが大人になるってことなのかな? なんてね、わたしはまだ小学生なんだもん。大人なんてまだずっと先のことだ。
「今日の給食楽しみ~」
給食のことでも考えてわくわくしよう。
「あはは、ことりちゃんも食いしん坊だね」
「美紀香ちゃんには負けるよ」
「ふふっ、任せて食い意地なら誰にも負けないよ」
美紀香ちゃんは胸を張り鼻息を荒くする。
「あはは、それって自慢することなのかな~?」
「うん、食い意地の張った可愛い子って最高でしょ」
美紀香ちゃんは得意げに笑っている。
そんな美紀香ちゃんにわたしは呆れながら「何言ってるだか」と言った。
その時。
わたし達の目の前を白黒模様の猫が横切った。
「あ、あの猫!」わたしは声を上げた。
「えっ! 猫がどうしたの?」
「うん、雑草がぼうぼうに生えている家によく通っている猫が今横切ったんだよ」
「気がつかなかったよ。ちょっと怪しげなおばあちゃんが住んでる家のことだよね?」
美紀香ちゃんは顎に人差し指を当て首を横に傾けた。
「そうだよ。わたしあの雑草がぼうぼうに生えている家と猫が気になるんだよね」
そうなのだ。どうして雑草を引っこ抜かないのかな? とか気になるよ。それに、わたしの大好きな猫があの家に通っているんだもん。
この時はまだ、あの雑草がぼうぼうに生えているおばあちゃんの家に通うことになるなんて思ってもいなかった。
最初のコメントを投稿しよう!