40人が本棚に入れています
本棚に追加
「は? 真似って何かな?」
わたしが首を傾げると静香は首を横に可愛らしく傾げ、そして、わたしと静香の足下を交互に指差した。
わたしは視線を下に向けた。
「あ、ハート柄のソックス同じだ」
「でしょう。うふふ、静香の真似をしてくれるなんて嬉しいな~」
静香はわたしが真似をしたと決めつけている。
だからわたしは、「真似なんかしてないよ。決めつけないでよ」と言ってしまった。
だって、真似なんかしていないのだから。
「えっ! だって、このハート柄のソックス静香先週の月曜日も履いてきたよ」
「そんなの知らないよ。静香ちゃんのソックスなんてわたし注目してないもん」
と、正直に言ったことがダメだったらしい。
「な、なんですって!」
静香の顔からみるみるうちに笑みが消え眉間にしわがよった。
それから静香はことあるごとにわたしに嫌味を言うようになった。
今日もわたしと静香のヘアスタイルがかぶっている。これは、マズいなと思っていると、取り巻きの女の子が、
「あ、ことりちゃんもポニーテールだ~静香ちゃんと同じだね。でも、静香ちゃんは猫さんの可愛いヘアゴムだけど、ことりちゃんのゴムはシンプルだね」
そう言って取り巻きの女の子がクスクスと笑った。
静香に視線を向けると、ニヤリと笑い勝ち誇ったような表情を浮かべていた。
静香は三毛猫がにっこりと笑っているヘアゴムを自慢げに触った。
あ、あの三毛猫雑草がぼうぼうに生えているおばあちゃんの家に通っている猫に似てるとわたしは関係ないことを考えた。
最初のコメントを投稿しよう!