2 雑草がぼうぼうの家へようこそ!

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2 雑草がぼうぼうの家へようこそ!

 四年生までは美紀香ちゃんと同じクラスだった。けれど、五年生になり離れてしまった。ちょっと寂しくて憂鬱になることもある。  それに静香がいるし‥‥‥。でも、気にしないもんね。そう思ってはいるけれど、静香の意地悪く笑う顔を見るとやっぱり嫌な気持ちになる。  そうだ、楽しいことを考えよう。猫といえば、今日見かけた白黒模様の猫も可愛かったな。   あの猫は絶対雑草がぼうぼうに生えているおばあちゃんの家に出入りしている猫だ。間違いない。  気になるからちらっと見に行こうかな。ちょっとあの家は不気味だけど、猫ちゃん可愛いもんね。 「ねえ、ことりちゃんも静香の真似するんだったら三毛猫のゴムで結わえなきゃ~」  その声に顔を上げると、静香がわたしを見下ろし満開の薔薇の花のような美しい微笑みを浮かべていた。  艶々さらさらのポニーテールの髪がゆらゆら揺れている。  馬鹿らしいと思いわたしは返事をしないでランドセルから筆記用具を取り出す。  すると、静香は、「ねえ、ことりちゃん聞いてるの?」と言ってわたしの机を両手でバンバン叩く。 「もう、うるさ~い!」とわたしは叫びポニーテールをほどいた。
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