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「あ、三毛猫だ!」
わたしは目の前をさっと走り去る黒より茶色が多めの三毛猫(キジ三毛かな?)を指を差し叫んだ。
「えっ? 三毛猫? いないよ」
「いないぞ」
美紀香ちゃんと結太がわたしの指差す方向を見て言った。
「あ、いなくなっている。足の速い猫だな」
気がつくと三毛猫の姿は忽然と消えていた。まあ、消えたというより猫だから足が速いだけだろう。
「今、目の前を走り去った三毛猫静香のヘアゴムの三毛猫に似ていたんだよ」
わたしは静香の艶々さらさらのポニーテールにちょこんとくっついているニコちゃんマークみたいな笑顔で笑っている三毛猫を思い出しながら言った。
「へぇ~そうなんだ。見てみたかったな。わたし三毛猫大好き~」
美紀香ちゃんは興味津々な顔だ。
「琴家の顔を思い出しそうでなんか嫌だな」
結太はちょっと嫌そうに顔を歪めて言った。
「静香ちゃんのポニーテールにくっついてた三毛猫に似てたのはなんだかだけど、わたし三毛猫って日本の猫って感じで好きなんだ」
わたしは、大好きな和が似合う美しくて可愛い三毛猫を思い浮かべながら言った。
すると、
美紀香ちゃんが、「三毛猫って顔が整っていて美人さん猫が多いよね。わたしに似てるかも~」なんて言ってにっこりと笑った。
「アホかナルシストめ」と結太。
「美紀香ちゃんは三毛猫って言うより可愛い系だと思うよ。お目目もくりっとして可愛いもんね」
美紀香ちゃんは色白でくりっとした目が可愛い女の子だけど、そう難点は自分の容姿を自画自賛するところだったのだ。
「うふふ、ありがとう。わたしっやっぱり可愛いよね? あ、ことりちゃんも可愛いよ~」
なんて言って美紀香ちゃんは天使のような微笑みを浮かべた。
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