countdown 3

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次の日の朝。 夏帆は重たい頭を上げて、泣いて腫れたまぶたを開いた。 (最後の見送りはきちんとしよう) 今日で成瀬との同居が終わる。 夏帆の心の整理は一晩ではできなかった。しかし、成瀬とは最後までしっかりと成瀬と向き合おうと思っていた。 顔と髪をきちんと整えた。服も着替えた。 準備をして一階に降りていった。 「夏帆、起きるのが遅いな。もう成瀬は出勤するぞ」 「ごめん。きちんと見送るよ」 目を腫らした暗い表情の夏帆。 昨日、通夜帰りのような雰囲気の二人に佳孝は何も聞けずにいた。気にはなるが、さすがに夏帆の顔をみてしまうと口にはできなかった。 そして、白制服の成瀬が玄関にやってきた。 官帽を被り、白い革靴に足を入れる。 最近は見慣れたこの姿も、今日が最後だ。 成瀬が振り返る。 「お世話になりました。また遊びにきます」 それはいつも通りの穏やかな表情だった。 「いつでも来いよ。待ってるから」 佳孝も変わらず返事をした。 そして成瀬が夏帆に向く。 「夏帆さん」 「はい…」 口を開きかけてから、ふっと閉じた。 そして数秒間、夏帆を見つめる。 「本当に楽しかったです。ありがとう」 夏帆の恋心がきゅうっと痛んだ。 また涙が溢れそうになるのをぐっと我慢した。 「こちらこそ、ありがとう。成瀬さん。また、連絡します」 「ええ、待っています」 成瀬は大人だ。いつもと変わらない笑顔を夏帆に見せてくれた。 そして、成瀬が扉を開く。 朝の低い日差しが夏帆の目に飛び込み、目を細めた。 後光に包まれた成瀬は、扉が閉まると同時に消えた。   今日、あなたが制服に着替えたら   それは同居の終わり―――
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