3389人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうか…。それはお互いに辛かったね」
園の掃除の時間。
夏帆は真希に今までのことを報告していた。
今回ばかりは真希も茶化すことはなく聞いてくれた。
俯くことが多い夏帆が気にはなったが、その理由ならしかたなのかと受け入れた。
「夏帆も悪くない。成瀬さんは待ってくれてるんだしさ」
「…うん」
「一番は成瀬さんと一緒になることだよ。夏帆が自信をもって、その選択をできるといいね」
「せっかく成瀬さんの気持ちが分かったのに…どうしてこう上手くいかないんだろう」
「仕方ないよ。夏帆は待つ人が帰らない怖さを体験しているんだから、自分を責めない」
「うん…」
理屈で整理がつくことなら簡単だった。
しかし過去の感情の乱れは、どうにも理屈では太刀打ちできなかった。
あとは、一日でも早く、夏帆の気持ちが整理されることを待つだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!