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「欲しいものは…欲しい」
ソファーに座ったままの二人はお互いを密着させ、瞳を見つめ合った。
成瀬の手が夏帆の首の後ろを支えると、夏帆を覆うように唇を重ねてきた。
夏帆はそれをすんなりと受け入れる。
成瀬の冷え切った唇が夏帆の胸を熱くする。一旦、唇を離した二人は再び見つめ合う。
「柊慈さん…。私が温めてあげます」
夏帆はそういうと、背を伸ばし成瀬の首に腕を回した。
そして成瀬の唇を食むように優しく何度も重ねる。
焚きつけられているような、じらされているようなキスに、成瀬の欲望が刺激される。
「…夏帆っ」
今度は堪らなくなった成瀬が主導権を握るように、夏帆の唇を割って中に入ってゆく。お互いの舌が優しく絡み合い、粘膜のすれる音が部屋に響く。
「はぁ…、柊慈…さん…」
目を細め、頬を上気した夏帆が酸素を求めるようにつぶやく。それがなんとも愛おしく、成瀬の炎に一気に火がついてしまった。
「夏帆っ」
唇から白くて華奢な首筋へと細かくキスをしてゆく。ときに、舌先で柔肌をツーっとはわせると、夏帆は淡い声を短く発し、疼く。
「んっ…ぁっ」
成瀬はその反応が嬉しいし、もっと可愛い夏帆の姿を見たくなる。しかし、今日はなぜか余裕がない。すでに夏帆が欲しくて欲しくて、自分が疼いているのがわかる。
キスをしながら自分の制服のボタンを外してゆく。夏帆もキスをしながら制服を脱がせるのを手伝う。
成瀬の半身が露わになると、その引き締まった肉体に夏帆の胸がキュンと痺れる。
「夏帆も見せて…」
あまり余裕のない成瀬は懇願するように夏帆のハイネックをめくり上げようとした。夏帆はそれを自ら脱ぎ捨てる。成瀬が再び夏帆を引きよせ、舌で割り入れキスをする。ブラのホックが外され、焦るように取り除かれたブラが床に落ちる。
そのまま夏帆をソファーに寝かせ、成瀬は夏帆の胸へと顔を沈めた。
まだ何もされていない夏帆の先端は、すでにツンと敏感になっている。成瀬は白く柔らかい肌を手の平で揉み込む。
「はぁ…う…」
夏帆の吐息が漏れる。
敏感な先っぽを指先でコリっとすれば「ああっ」と背を反らせ弾けてしまう。
（どうしてこんなに感じちゃうの？）
成瀬の温かな口腔内でコロコロ転がされたり、吸われたり。今まで感じたことのない、きもちいい痺れが全身に響いてくる。
その痺れに襲われると、意志とは無関係に声が漏れてしまう。
「夏帆…顔を見せて…」
「は…ずかしい…」
胸を絆されてただけで達してしまいそうな自分がはずかしくてたまらない。
夏帆は頬をピンク色に染めて顔を横に向ける。
成瀬は上半身を起こして夏帆の顔を正面に戻す。
「ものすごく可愛い。だから、その顔を見ていたい」
「ほ、本当…？」
「夏帆の全部が見たい。夏帆のすべてが欲しい」
「うん…私も柊慈さんが欲しくて欲しくてたまらない…」
夏帆は成瀬の首に腕を回してキスをした。
成瀬の身体はすでに熱を帯び、うっすら汗ばんでいる。
それが夏帆は嬉しくて、自分まで興奮してしまう。
唇を重ねたまま成瀬の手が下半身へと滑ってゆく。成瀬がゆっくりと肌を撫でると、夏帆はすべてを奪われるかのように力が抜けてゆく。
ゆっくりと夏帆の下肢が開かれる。
じらされるように果肉の周りをなぞられたあと、成瀬の指が夏帆の蜜壺にぬぷりと滑り込んでいった。
入ってくるのと同時に、溢れた密が果肉の上を滴り落ちた。
その感触で夏帆はわかった。自分がどれくらい濡れてしまっているかが。
（…こんなの初めて…）
それほどまでに自分が成瀬を欲していたのかと気付かされる。
同時に成瀬もたまらなくなっていた。
これほどまでに夏帆が自分を受け入れようとしているとは。
夏帆の中は熱がこもり、十分に潤っている。
成瀬はもう片方の手で夏帆の顔にまとう髪を払う。
そして夏帆の顔をしっかり見ながら、悦る場所を探てゆく。
「うぅ…んっ…ぁっ…」
頬を上気させ小さく細かく発する声にさえ、成瀬の欲情がそそられる。
夏帆がビクンと身体を震わせれば、ゆっくり動かしていた指をピンポイントで押し付けかき交ぜる。
粘膜から溢れ出す水音が二人の空間に鳴り響く。いやらしさなどなかった。その音を聞くだけで快楽の世界に落ちてゆきそうだ。
「ああっ、いやっ、そこっダメっ」
と達しそうになった夏帆が反射的に足を閉じようとするが、つかさず成瀬は半身を割り込ませる。悦に入る夏帆の腰がクイッと上がってしまう。成瀬の腕にまで夏帆の蜜液がつーっとしたたり落ちる。
夏帆の全身に力がきゅっと入った次の瞬間、「んんっ…あぁっ…」と力が抜けていった。
成瀬の首にしがみついていた腕がほどけ、夏帆は目を閉じ小さく肩で呼吸をする。
そんな夏帆の姿が愛おしくてたまらず、成瀬は舌をねじ込ませてキスをする。
「…夏帆、いい？」
「…うん。柊慈さん、きて…」
いつもより性急かもしれない。
一度はもうだめかもしれないという絶望から、今、こうやって好きな人と抱き合うことができている。その事実だけで欲望が溢れてしまい、この情事を楽しむ余裕はなかった。
あなたが欲しい。
夏帆も成瀬も、今はただ、それだけだった。
成瀬が夏帆の中に、果肉をかき分けゆっくりと入ってくる。
充分ほぐされたわけではない。しかし、夏帆の身体は火を発するかと思うくらいほてっている。そしてこのうるおい。最奥までいくには十分だった。
まずは味わうように成瀬はゆっくりなストロークを打つ。
「夏帆…愛している」
「私も…柊慈さん…愛してる」
再び見つめ合いキスをした。深いキスを繰り返し、夏帆を穿つスピードを上げてゆく。
最奥を突かれるたびに、まるで媚薬を盛られたかように子宮の奥から快楽が押し上げてくる。
思考は停止している。ただ快楽に身を任せるだけで精一杯。
「んっ…んんっ…」
夏帆の唇は塞がれているはずなのに、どうしても漏れてしまう吐息。それすらさせないと成瀬が夏帆の唇を覆う。
もっと夏帆を感じていたいのに、今に限れば成瀬も余裕などない。夏帆の熱くねっとりとした粘膜は成瀬を圧迫するように飲み込む。逆に自分が奪われそうな感覚だ。これでは余裕がなくなるはずだ。
「はぁはぁ…」と息を整え成瀬は一旦動きを止めた。夏帆が覗き込む。
「…大丈夫？」
「どうしようもなく…気持ちがいい…」
「…うん、私も…」
「今日は、ちょっと余裕がないかも」
「柊慈さんとこうしてるだけで幸せ…」
成瀬が少し困ったように微笑む。そして再び動きだす。
そのリズムに合わせて成瀬の額の汗が夏帆の胸にポタポタと落ちてきた。夏帆は夢中で自分を奪おうとする成瀬が愛しくて愛しくてたまらない。
いよいよ余裕がない成瀬が、一旦ひいてからの長いストロークで穿ってきた。そのたびに夏帆の最奥から粘膜と粘膜がぶつかり合う低い音が響く。そこから身体中に広がってゆく悦な幸せ。
「あぁっ…、あっ…、ぁんっ…」
成瀬の動きにリンクして夏帆の喜びの声が、成瀬の耳もとでささやかれる。
もう汗か体液なのかわからない溶け合った二人の身体が最高潮に達しようとする。
「夏帆っ、愛している」
最後は成瀬の言葉と一緒に二人で弾けた。
愛しい人と抱き合える喜びをかみしめながら。
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