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私があまり話さないからなのか、
辛島田さんは自分のことを話し始めた。
至って平凡な日々を過ごしてきたこと。
高校ではラグビーをしていたこと。
小学校からお受験していたこと。
お父さんが医者で風邪を引いたら家で点滴したり薬を飲んで、翌日には治っていたこと。
彼のどこが平凡だったのか、世間の平均より下回る生活をしていた私にはわからなかった。
でも、全く持って育った環境が違うため、この人とどうこうなることはないから、こうして会うのは時間の無駄だと思えていた。
そんなことは裏腹に次々とテーブルに運ばれる
焼き鳥も、採れたてのヤングコーンの焼きも
どれも美味しくて食が進んでいた。
私がカフェやスイーツが好きなことを言うと
薬院駅にあるカフェに行くことに。
辛島田さんの夜行バスの時間を考えると、カフェで過ごす時間は1時間もないけれど、それでももう少し私と一緒に居たかったのかな?
カフェに着くと遅い時間だったけれど
私はシャインマスカットのエクレアとコーヒーを一緒に注文した。
「ここはコーヒーもだけど、スイーツが本当においしいんですよ〜!!」
私はきっと満足気な表情をしていたと思う。
そして、この時の私の表情に彼はやられたのだと後に彼から聞くことになる。
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