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2回目デート
日曜日の仕事終わり。
今日は辛島田さんが大阪のお土産を持ってくるから受け取るために軽く会うだけ。
あんこと聞いていたから日持ちを考えると
ズルズル先延ばしできないし…。
付き合う気がなかったから、本当は心を鬼にして返信を返さない、会わないという選択もできたはずなのに、なんだか辛島田さんの勢いに呑まれっぱなしになっていたんだ。
仕事が終わって辛島田さんにLINEを送った。
"終わりました、今どこですかー? "
"グランドホテルにしますか!"
グランドホテル?
え、なんでまたそんな立派なところ?
そう思いながらも向かった。
ホテルのラウンジで待つ辛島田さん。
会社がこの近くで取引先と時々使うらしい。
きっと少し大人ぶっていたのもあるだろう。
「あみさーん!!!これ大阪のお土産です!大阪に行く前日に会ってたからあみさんにお土産どうしても渡したくて」
「そ、そんな。ありがとうございます。
前日に少し会っただけなのにお土産なんかもらっちゃっていいのかな」
「もらってください!あみさん甘いもの好きって言ってたから赤福買ってきました〜!」
「ありがとうございます!明日少しずつ食べていきますね」
サクッと飲んでサーっと帰ろうと思っていた私には注文したコーヒーとリキュールで割ったお酒はちょっぴり強めで、ミックスナッツを追加で注文した。
わざわざ休みの遅い時間に、お土産を持ってきた彼に対して、お土産もらったら即帰るという行動ができないくらい、彼は私自身もまだ気づいていないくらいのごくわずかなポイントをジワジワと積み重ねていた。
辛島田さんの会社はグランドホテルに近いらしく、私が仕事が終わるまで会社に行って仕事していたらしい。
その後、ラーメン屋さんを探しながら散歩していたらしい。
東京からきた彼におすすめのラーメンを尋ねられたが、私は詳しくなく、反対におすすめのラーメン屋さんを教わった。
「あみさん、仕事終わりでお腹空いてないですか?今から行きましょう」
「まあ、少しお腹空いてるかも…行く?」
10分ほど歩いてラーメン屋さんに着いた。
そこは女性でも入りやすい雰囲気のラーメン屋さんで、定食屋さんみたいな雰囲気。
やかんからお茶を注ぐような個性的なお店。
味付けもあっさりしていて、胃もたれしない。
なんか、こういうラーメン屋さん新鮮!
「あみさんって美味しそうに食べますよね!」
「え、そう?でもよく言われるかも!笑」
「あみさん、今度ドライブ行きません?糸島とかどうですか?」
…やばい、また距離詰められてきてる。
でもこれ以上は踏み込んだらいけない。
これ以上はなんとか断らなきゃ。
「いいですね、糸島はカフェもたくさんありますもんね」
とりあえず社交辞令で返して、後で断ろう。
そう思っていたんだ。
きっとこの頃には彼のペースになっていたんだ。
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