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篤史とリビングへ戻ると、両親がソファに並んで座っていた。
その少し離れた所に冬子が立っている。
篤史が夏美の手を離して、ソファの両親の前に正座をした。
「夏美さんと結婚したいと思います。夏美さんが不安に思う傷も含めた、夏美さんが大切です。認めていただけますか?」
篤史が言葉にすると、夏美は泣き出してしまった。
少しの沈黙の後、
「夏美を頼む…」
そう言って書斎に行ってしまった父親。
母親の、
「篤史くん、夏美の部屋で夕飯の支度が出来るの待っててね」
という声に、今日篤史が来ることを、両親が知っていた事に気づいた。
それでも、頭ではそんな事を考えるのに、涙は止まらなかった。
篤史に手を引かれながら、夏美の部屋に向かうと、階段前に冬子が立っていた。
「夏美の部屋は、階段上がってすぐの部屋よ。あんた、夏美泣かせたら許さないからね」
そう話す冬子に、
「ああ、大切にする」
そう答えて夏美の部屋へと向かった。
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