神誓王国侵攻編② 王宮の守人と黒焔の修羅

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 この奇妙な領域はそのまま王城を守護する王宮守護隊の派閥争いに反映されており、僧兵で組まれた部隊は恐ろしく連携がとれていない。  各々の領域守護の僧兵は自分達の宗教派閥から選抜されており、自陣領しか守ろうとせず、情報共有も端から別派閥とする気がないからだ。  そのため一階の防衛はかなりザルに等しい。  唯一機能しているのは王宮近衛騎士団だが、王族守護を旨とする彼らは殆どが王族が住まう三階と四階フロアにおり、それ以外のフロアにはそれほど人員を割いてはいないのだ。  かつてのパリキス王女誘拐事件の原因の一つが、この一階フロアの杜撰な警備のせいなのは言うまでもない。  どこかの派閥が手引きすれば、城内に間者を潜ませるのは容易な事なのだ。 「問題は一階を守護している王宮近衛騎士団か。今のシフトはどうなっている?」  ガルンが王宮近衛騎士団に在籍していたのは八年近く前である。    新人のヴェイルもそうだが、組織図も、防衛方針も変わっている可能性は高い。
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