プロローグ

13/15
前へ
/48ページ
次へ
「情けない話だが、貴様の“虚理の殺意”とやらをずっと調べていたが何も掴めなかった。だが、この話をエルフ姉妹に話した所、血相を変えて調べだしてな。それに繋がる神代語教典まで見つけだしおった。やはり餅は餅屋と言うことだ」  仕事そっちのけで資料を漁るエルフ姉妹の姿が目に浮かぶ。  ライフワークが遺跡巡りなだけあって、探し物を見つけるのは得意なのだろう。  ガルンは黒いガントレットに漸く重みを感じる事ができた。  アズマリアはその姿を客観的に見ながら話を続ける。 「再三注意だがこのドレッドノートをはめても、貴様の殺気は完全には抑えきれない。本来一個人の精神力など古代秘宝の前では歯牙にも掛からない程度のものだが、貴様は別だ。その異常な殺意は上位存在の持つエネルギー量に等しい。許容量をオーバーした分の殺気は漏れ出すと考えろ。なるべく人が多い場所では殺意を持つな。常に冷静でいろ。感情を殺せ。特に怒りだ。虚理の殺意は怒りがトリガーなのは間違いない。それに、黒い炎の方は物理的(・・・)に無理だ。防ぐことが出来ない。兎に角、望まない死体の山を作りたくなければ心に刻め」     
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加