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本来ならば刀の勢いを受け流されているので、そのまま前につんのめるところに回し蹴りが直撃する筈だが、ガルンは体幹の良さからか全く体勢が崩れていない。
回し蹴りをしゃがんでやり過ごすしながら、回転して足払いを放つ。
軸足を払われたヴェイルはそのまま無様に倒れるーー筈であったが、何故か空中を浮遊して左側の建物の側面に着地する。
腕から伸びた包帯が壁に突き刺さり、それに引っ張られて移動したのをガルンは目の端に捉えていた。
「流石英雄。剣の間合い《クロスレンジ》はヤバいヤバい。ここは絡めてと行こうか」
壁に張り付いたヴェイルが高揚とした表情を浮かべている事より、ガルンはいつの間にか周りに浮遊している紙の四辺に気がつく。
壁に移動しながら、手の中から散布していた紙吹雪の動きは絶妙としか言いようがない。
その小さい紙吹雪には、何やらのたくった文字が刻まれている。
「空雷」
ヴェイルが印を結ぶと、それらは一斉に爆発した。
小さな爆発が連続し、化学反応を起こしたのか最終的な爆発はかなりのものである。
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