神誓王国侵攻編① 伝令と門番

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 爆風の余波が唖然として見ていたアベルの頬を叩く。  ほぼ予備動作無しでこのような爆発を行える術式は限られる。  少し遠目から見ていたアベルからは、一瞬待っていた紙吹雪など攻撃動作として捉えようがない。 「呪符か……」  そうボソリと呟いたのは、爆発した後に舞った土煙の中からだった。  ヴェイルの顔が歓喜に震える。  土埃を突き抜けて現れた水の刃を、壁を縫うように移動しながらかわす。  あの間合い、あのタイミングで攻撃を防いで反撃してくるとは。  壁に当たった水刃は綺麗に霧散し、煙を抜けてガルンの姿が現れても特に驚く事もない。  ヴェイルは地面に降り立つと舌なめずりした。 (水刃攻撃を考えると、俺の空雷は妖刀の水の膜が何かで防ぎ、そのまま膜状の水を攻撃に転嫁したってところか?)  土埃による死角からの攻撃も的確であり、完全に直撃コースである。  まるで全て見えている(・・・・・)かのような攻撃だ。  ガルンが刀を一振りすると、立ち上っていた土埃が一瞬で消し飛ぶ。  英雄と呼ばれた剣士の実力の片鱗に触れて、ヴェイルは笑いがこみ上げてきた。
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