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指し示した先に呪符らしきモノが貼り付いていた。
周りを観察すると、一定間隔に呪符が建物の壁などに貼られている。
「この路地裏には五行結界を張っておいたんでね、衝撃も音も外部には漏らさない。上級魔術でも突破不可能さ。まあ、貼ってある呪符帯を狙い撃ちされたらその限りじゃないけどな。まあ、英雄殿は始めから気付いていたようだけど」
あっけらかんと言い張るヴェイルはチラリとガルンに視線を向けた。
ガルンは路地裏に入った時点で気付いていたらしく、別段驚いた素振りもない。
常在戦場の意識があれば、常に目に付く景色の違和感には敏感だ。
ただ、常人は自分のホームであれば気が緩むのが常である。
「とりあえず、もう少し楽しめるって事さ」
ヴェイルは嬉しそうに右腕を回すと少し前傾ぎみの構えをとる。
飛び出す気が見て取れる姿勢だ。
それを見て、ガルンは刀を片手で正眼に構えてから口を開いた。
「貴様の能力、紙使いだな。呪符は後付けと言ったところか」
その言葉でヴェイルの動きが止まる。
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