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投げ放たれた呪符から爆炎が生まれたのを見て、ガルンは妖刀を円上に回した。
水の幕が全面に展開されて爆炎を防ぐ。
衝突した爆炎と水壁が打ち消し合って水蒸気が発生した。
水が沸騰するような音と共に、辺り一帯を視界を覆う蒸気が広がる。
その白い濃霧に隠れてヴェイルは動き出した。
右方向に新たな呪符を投げ放ちつつ、本人は左に回り込んでいく。
呪符はヒラヒラと空中に数秒漂った後、雷撃を解き放った。
方向のコントロールまではままならなかったが、濃霧の中から撃ち出される雷撃は脅威に他ならない。
視界ゼロからの攻撃だと、本来ならば攻撃の先に敵がいると錯覚するところだが、全てが見えているようにガルンは右方向から迫り来るヴェイルに狙いを定める。
蒸気を切り裂き紙の包帯が飛び出す。
まるで鋼のような硬さの紙の刃を、ガルンは刀身で滑らせていなしながら前に出る。
包帯の先にはヴェイルがいる筈ーーと言う先入観も罠であった。
蒸気を抜け出した先には、鋼の包帯の先が壁にめり込んでいるのが眼に映る。
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