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その刹那、煙を切り裂いて長く伸びた紙の刃が背後から迫る。
ガルンはそれを不可解そうな顔でしゃがんでやり過ごす。
(センスの問題か? 敵の死角に回る動きが卓越している)
チャクラ感知で動きを追っていたが、それを欺くような身のこなしは脱帽するレベルだ。
もしかしたら気配を置いて動く技法でも身につけているのかも知れない。
「やるなヴェイル。これなら直ぐにでも王宮近衛騎士団のトップクラスに入れるぞ」
「いやいや、そんな狭い集団で括らないでくださいよ。実際今まで戦った敵と比べたら俺はどのくらいですか?」
蒸気の中から声がするが、声が反響して音から位置が把握できない。
ガルンは刀を構えるとゆっくりと瞼を下ろした。
「中の上と言ったところか」
そう呟くと、目にも留まらぬ早さで右側の水蒸気の中に飛び込む。
「うおっ?!」
そう思わず声を漏らしたのはヴェイルである。
何故か位置を完全に看破されて、ガルンが猛然と刀を振り下ろして来たのでは仕方がない。
すぐさま防御用の紙の盾を構築する。
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