神誓王国侵攻編① 伝令と門番

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「滅陽神流剣法・無式弐型袈裟斬り」  振り下ろされた刀は、防御した紙の盾を意図も容易く切断した。  まるで水面に刃先を入れただけのような滑らかさで、切っ先はヴェイルの喉元で止まる。  制止した刀が届いていたのか、首筋に薄皮一枚切れたような傷が浮き上がった。 「取りあえず一本と言ったところか?」  ガルンの言葉に、ヴェイルはゆっくり後退しながら首を縦に振った。  最後の一刀までの動きが、今までとは別次元だ。  的確に位置を把握し、踏み込んだ速さも今まで戦ったどの剣士よりも速く、打ち込まれた一刀は能力で強化した妖紙(ようし)を呆気なく切断してのけた。  ガルンが戦った相手の中で、中の上と言う位置付けに腹を立てるより、己のレベルが未だ中央値でしかない事に 世界の広さを感じる。 「負けた負けた! 流石ですよ英雄殿。でも不可解なことが二つありますよ。答えを貰えますか?」   ヴェイルはやけくそ気味にその場に座り込むと、足元に落ちていた紙を拾い上げた。  ガルンに綺麗に切断された紙である。  
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