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「これ、相当強化したんですが、どうやって斬ったんですか?」
ピラピラと切断された紙を左右に振る。
確かに傍目から見れば、ただの上段斬りが紙を切断したかにしか見えないだろう。
だが、紙使いたるヴェイルにしてみれば、上級冒険者程度の一撃なら容易に防げる耐久性を保たせていた自負がある。
伝説の炎の魔剣ダークブレイズに燃やされたならばまだ納得出きるが、水の妖刀に斬られたのでは納得いかないところだ。
それも、水の能力も出していたようにも見えない。
ただの袈裟切りである。
ガルンは刀を背中の鞘に収めると、わざとらしく肩をすくめて見せた。
「俺は神すら斬る魔剣の伝承者でな、その技を使えば大抵のモノは斬れる」
「うわ~急に胡散臭い回答てすね。その秘剣は企業秘密ってところですか?」
「いや、別段隠している分けではないが……」
「まあまあ、皆まで言わないで良いですよ。それが伝説級の実力者の力とだけ理解しておきます」
ヴェイルは秘術は明かせないと判断したようだったが、ガルンは初めから誤魔化してなどいないので微妙に話が噛み合わない。
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