プロローグ

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「どのみちろくな利用価値ではない筈だ。早々にパリキスを奪還しなければならない」 「そう思うなら頭を冷やせ。いいな?」  アズマリアはそう言い聞かせると、再び馬を先導するように前に出した。        ◇   フエキドウ林道を抜けた先には、神誓王国(しんせいおうこく)メルテシオンの郊外にある町、メレリオンがある。  避暑地として良く使われる町であり、広大な土地に並ぶ家は少ない。  メレリオンにはメルテシオン王都から貴族も簡単に行けるようにと、大陸大街道の一つ“センターライン”と呼ばれる中央道に接続しているため、魔導士により補強された石路は丈夫で陸路としては申し分ない快適な道だ。  そこまで出てしまえば、メルテシオン王都に向かうのは簡単である。  逆を言えば、第四聖骸を持ち去ったと思われる第二王子をそこまでに捕捉できなければ、王都に到着してしまっている可能性が大だ。  元々、吸血鬼の住まう夜魅の国から帰還したガルン達と、第二王子との出立した時間的な差がどれだけあるのかは分からないので、急いでも既にメルテシオン王都に到着している可能性は非常に高いだろう。  
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