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休息所に到着したガルンは、思いの外大きな施設に驚いた。
中規模の宿屋が三棟並んでおり、それぞれに専用の馬小屋までついている。
旅芸人の一座ぐらいならすっぽり入りそうな規模と言えよう。
休息所には他の利用者はいないらしく、人の気配はない。
アズマリアは知った場所なのか、さっさと馬小屋に馬を繋ぎに向かっていた。
宿屋内部に入ると、そのまんま宿屋の体をなした間取りのフロントが中央奥にあり、左は食堂やキッチン設備、右には手洗い場や浴場施設らしきものが見える。
フロント右にある階段から、寝室は全て二階以上にあるようだ。
アズマリアはフロント奥の壁に掛けられた鍵の中から一つを無造作に掴むと、ガルンに投げてよこした。
鍵には番号札が付いており、それが部屋番号と言うことだろう。
「施設の使い方や、食料は自分でどうにかしろ。それよりも貴様に渡すモノがある」
アズマリアはそう言いながらマントの下からクリスタルの小瓶と黒いヘッドギアを取り出すと、フロントの机に丁寧に置いた。
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