竜の涙

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朝、アクアが目覚めると隣で寝ているはず のノアがいなかった。 散歩にでも出かけたのかと思い、 気にせずにいたのだが、ノアは 三時間経っても帰ってこなかった。 さすがに心配になり、グレンと森から帰ってきた マリンに話した。 「なんですって! ノアがいなくなった!?」 マリンは青ざめる。 グレンも体を起こし具合の悪そうな顔に心配の 表情を浮かべた。 昨日のノアの焦った様子を思い出す。 まさか、薬草を探しに行ったの? 最悪の事態がアクアの脳裏によぎる。 全身が粟立った。 「わたしっ、ノアを探しに行ってくる!」 アクアは家を飛び出した。 後ろから両親の制止の声が聞こえるが気にしない。 ノア、どうか無事でいて。 アクアは祈るようにギュッと目を瞑り、 また前を向いた。           ◯◯◯ 「ノア!! ノア!!」 アクアは森の中を探し 歩き続けていた。 夕日がアクアの顔を照らす。 足が痛い。 一旦、立ち止まりふくらはぎを揉む。 夜は動物や魔物が活発になる時間帯だ。 このまま、ノアを探し続けていたら 魔物の餌食となってしまうだろう。 しかし、アクアにはノアを見捨てるという 選択肢はなかった。 絶対にノアを見つけ出してみせる! アクアは唇を一直線に結んだ。 しばらく歩いていると 「すぴーすぴー」 という寝息が聞こえてきた。 人間? 茂みから寝息が聞こえてくることに気付き、 アクアは茂みを掻き分けた。 そこで、衝撃の光景を目にする。 なんとノアが気持ちよさそうに寝ていたのだ。 そこまでは良かった。 問題なのは大きな 黒い生き物と抱き合って寝ていたことだった。 黒いウロコはキラキラと輝き、 トカゲのような見た目。 黒い尻尾でノアを包んでいた。 「ド、ドラゴン……」
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