エピローグ

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「どうしたの、翔流くん」 「いや、何でもない」 「変なの。それよりも、通り魔事件の犯人が綴木先生だったとは驚いたね」  振り返ったすぐ後ろに、女装して赤いレインコートを着た先生の姿は、今でも思い出すだけで震えた。  しばらく夢にみてはうなされたほど。  綴木が犯行に及んだのは、仕事による過大なストレスが原因だったという。  後から聞いた話だが、綴木は女装が趣味だったらしく、その趣味に赤いレインコートを着た都市伝説の噂話を利用し、生徒たちを脅かし、ストレスを発散していた。  綴木の最初の犯行は、山城まどかに嫌がらせを受けた藤白桜花が、交差点に飛び出し車にはねられた直後。  綴木は塾帰りの女子小学生に襲いかかり、カッターナイフで怪我を負わせた。  学年主任の綴木は、学校内で問題となっているいじめに頭を悩ませ、精神的に病み、憂さ晴らしにやったのだ。  それで味をしめた。
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