4 菜月、幽体離脱を試みる

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 不審者――藤白は低い声で言う。 「おまえが娘をいじめた山城まどかだな!」 「え? ち、違います! 私は山城まどかじゃないです!」  どうして私のことを山城まどかだと勘違いしているのだろう。  何がなんだかわからず、菜月の頭は混乱した。 「嘘を言うな! さっき、スマホにかかってきた電話に出た時に、名乗ったではないか! 山城まどかだと」  菜月は息を飲む。  そう、確かに言った。  交差点で立ち止まり、まどかのスマホに電話がかかってきて。 『はい、山城まどか』  のスマホです、と――答えた。  そして、すぐ側にいつも座り込んでいる不審者の姿もいた。  電話の相手は、暎子の言った通り本人からだった。  スマホは暎子に頼んで返した。  だが、藤白は勘違いをしている。
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