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部屋の構造を見るからに、アパートの一室。
窓から差し込んでくる街灯の光の加減から二階。
大声で叫べば、きっと誰かが気づいて駆けつけてきてくれるかも。
だが、叫んで相手を刺激すれば、かえって危険な気がした。
ふと、菜月は翔流の言葉を思い出す。
小山佳珠子が生霊になって現れた時のことだ。
生霊はその人の強い思いによって、身体から魂が抜け、思いの対象となる相手の元へ飛ばせると言っていた。
翔流くんの元へ私の生霊を飛ばし、助けを求めたら?
できるかわからない。
けれど、やってみるしかない。
翔流くんなら、きっと、気づいてくれる。
そう信じて菜月は目を閉じた。
『翔流くん、助けて!』
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