4 菜月、幽体離脱を試みる

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 どのくらい経ったのだろうか。  とてつもなく長く感じたが、おそらく数十秒もかかっていないのかもしれない。  すさまじい倦怠感に、起き上がることができなかった。  生霊をうまく飛ばせたのだろうか。  ナイフを持った藤白が、菜月の元へと近づいてくる。  絶望の中、藤白の背後に、もう一人何者かの存在を感じた。  向こう側が透けてしまいそうなくらい、薄い影のような存在。  目を凝らすと、女の子が立っていた。  藤白を見つめるその少女の目は、とても悲しそうであった。  あの子、桜花さん!  その少女の顔を確認した菜月は目を見開いた。 「待って、後ろに桜花さんがいる!」  しかし、桜花の名前を出したことで、かえって藤白を刺激したようだ。 「黙れ!」  怒りに顔を真っ赤にしながら、藤白はナイフを持つ手を大きく振り上げた。  もうだめ……。  パパ、翔流くん!  その時であった。
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