4 菜月、幽体離脱を試みる

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「ここは悪霊のたまり場かよ!」  咄嗟に、翔流は数珠を持った手を合わせ、何かを唱えると、散れ! と声を放ち数珠で空気を裂いた。  征樹は靴のまま部屋の中へと飛び込み、藤白を殴り飛ばす。 「俺の菜月から離れろ!」  蹴られた勢いで藤白の身体が後方の壁まで飛び、そのまま崩れるように落ちる。  ぐったりした藤白の口から、黒いもやが吐き出された。  力なく座り込む藤白の胸ぐらを掴み、征樹はさらにこぶしを振り上げた。 「パパ、だめ! その人、藤白桜花さんのお父さんなの!」  菜月の声に、征樹は振り上げた手を虚空で止めた。 「そうなのか?」  藤白はうなずく。  征樹に殴られ唇を切ったようだ。  口の端に血が滲んでいた。
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