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「最初は、娘をあんな目にあわせた奴を探して、謝ってもらいたいと思っただけだった……なのに……」
ぐったりと壁に背をもたれながら、藤白は弱々しい声で言う。
憑いていた悪霊が身体から離れたことにより、落ち着きを取り戻したようだ。
「大丈夫か、菜月。今、縄を解く」
翔流くんに縄を外してもらい、ようやく自由になれた。
「僕に助けを求めに来てくれただろ?」
菜月は唇を震わせながら頷いた。
「よく思いついたね。上出来だ、菜月」
「翔流くんなら気づいてくれると思った。あのきれいな蝶は翔流くんだよね?」
「ああ、菜月を見つけだしてもらうよう指導霊の力を借りたんだ」
「指導霊?」
また、知らない言葉を聞いた。
「霊能者として僕を導き指導してくれる、うーん、守護霊とも違うんだけど、それに近い存在かな」
「その指導霊さんにもお礼を言わなくちゃだね。助けてくれてありがとう」
菜月はぺこりとお辞儀をする。
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