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エピローグ
「すごい! 翔流くん、これって、まさにママの味を再現してる!」
できあがった肉じゃがの味見をした菜月は、手を叩き喜びの声をあげた。
「まさか、ママの霊を呼びだしてレシピを教わるなんて、思いもしなかった!」
以前、翔流が肉じゃが作りを手伝うと言ったのは、こういう意味だったのだ。
「お母さんも喜んでいたね」
「うん」
娘に料理を教える母の顔は、とても嬉しそうで、幸せに満ちていた。
もちろん、こんなことは何度もできることではない。
「これなら、きっと、パパも満足してくれる。ありがとう翔流くん」
「征樹さんなら、菜月が作った料理は、どんなものでも喜んで食べてくれると思うけどな」
「もちろん、そうだけど。でも、パパに喜んで欲しいから」
「菜月は、本当にお父さんが好きなんだね」
「もちろん!」
無邪気に父親を好きという菜月に、翔流はどこか複雑そうな表情を浮かべる。
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