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菜月の目に、どこから現れたのか、淡く光る発光体がふわりふわりと横切っていくのが見えた。
蝶?
それは藤白の目の前でひらひらと舞い、次の瞬間、ぼっと音をたて、蒼白い炎となって勢いよく燃え上がった。
「ひ!」
驚いた藤白は菜月から離れ、後方へと尻をついて転がる。
転んだ衝撃で藤白の手からナイフが落ちる。
菜月は唇を震わせた。
目の奥が熱くなる。
翔流が助けに来たのだと確信する。
「翔流くん……来てくれた」
菜月の呟く声とともに、派手な音をたて玄関の扉が開け放たれた。
「菜月!」
征樹と翔流の声が同時に響く。
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