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「にょんたんずを……連れて来いって……」
七月のある日、瑠璃お兄ちゃんは申し訳なさそうに呟いた。
「俺と親父が絶対守るから! 伊織先生の魔の手が伸びないようにするから!」
七月の定番イベントと言えば薫蘭風お姉ちゃんの里帰りだ。去年は僕もついていったけど、この里帰りも伊織先生のスタジオの慰安旅行みたいになっている。
「瑠璃お兄ちゃん、大丈夫だよ。みんな、いるんでしょ?」
と聞いたら瑠璃お兄ちゃんはまた苦しそうな顔をする。
「今年は……俺と薫蘭風ちゃんと親父とにょんたんずだけだ……。伊織先生が決めやがった……」
「ヤバいよ〜ヤバいよ〜」
瑠璃お兄ちゃんの横でお父さんも頭を抱えている。
「大丈夫だよ。みんなが思うほど伊織先生、危険じゃないでしょ?」
「危険じゃない大人がまだ十歳の女体化した翡翠と結婚したーーい♪とか言うわけないだろ!? 今でも日常的に翡翠くんをお嫁さんにしたーーい♪とか言ってんだぞ!?」
何にも言えなかった。でも、にょんたんずが薫蘭風お姉ちゃんの里帰りに参加することは決定事項らしい。瑠璃お兄ちゃん、上下の関係は大切にするから、その辺断れないらしい。誰彼構わずかかと落とし食らわしているかというとそうでもないのだ。聞いた話によると身近でかかと落とし食らってるのお父さんとげたんわお兄ちゃんだけらしいし。
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