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「俺さ、サッカー始めたのは小三だったんだ」
黙り込んだ私の代わりに、今度は日高くんが話し始めた。
「俺、すごく小さかったんだよ。よく女の子にも間違えられもした」
「ええー?それは想像出来ない」
確かにこの整った顔は、子供の頃可愛かったんだろうなって思うけど。
私の反応に日高くんはクスッと笑う。
「小二の頃、たまたまアニキのサッカーチームが練習試合するっていうから、家族で応援に行ったんだ。その時、低学年の部の対戦相手チームにいた、一人の子に釘付けになった」
「へぇー。上手だったんだ」
日高くんが言うくらいだ。かなり上手だったんだろうな。
「上手だったよ。でも、それ以上に眩しかった」
「眩しい?」
私の言葉に、日高くんがコクンと頷く。
「サッカーが好きで、自信持ってて。まるで羽でも生えてるんじゃないかってくらい、動きが軽くて」
思い出しているのか、日高くんは優しい瞳で、口元を綻ばせた。
「その頃の俺は、ちっこい身体と女の子に間違えられる顔がコンプレックスで。家に引きこもりがちだった」
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