月夜の感謝伝え

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月夜の感謝伝え

夢の中でに艶やかな美人に出会った。 話し掛けようとしたら、そこで目が覚めた。 また別の日の夢の中で、その美人に出会った。 今度こそ話し掛けようとした。 やっと話せた。 鈴を転がしたような綺麗な声だ。 1つ気になることがある。 初めて会った時も今も「月下美人」を持っている。 何故持っているのか聞いた。 「いつか真実を知る時がきます。ちゃんとお会いする時に……」 それしか教えてくれなかった。 ある日、仕事の残業で帰りが夜中になってしまった。 帰り道でジャスミンに似た上品な香りを放っている月下美人を見つけた。 あの美人を思い出す。 ちゃんと会うというのはどういうことだろうか……。 分からない。 何故かあの美人に現実で会いたいと思う。 ただ1度で良い、会いたい。 夢の中じゃなくてだ。 するとジャスミンに似た上品な香りがすぐ目の前でした。 目の前で香りがしたのにも驚いたが更に驚くことが起きた。 あの夢の中で会っている美人がいる。 今夜は月下美人を持っていない。 「ちゃんとお会いできましたね」 そう笑顔で言ってくれた。 更にこう言った。 「実は私、貴方に助けて頂いたものです。他の植物のツルや草に絡まっていたところを取ってもらいました。お蔭でちゃんと育ちました。貴方に感謝を伝えたくて、こうして会いに行きました。私は短命なのでちゃんと会えるまでは夢の中でしか会えなかったんです。私が月下美人だってことに気付いてもらえたらと思って月下美人を持ってました。あとは…持ってないといけなかったので。本当にこうやって会えたのは本当に嬉しいです。改めまして、私を助けて頂きありがとうございました」 彼女にそう言われ、頭が混乱したがお礼を言いに来たことというのは分かった。 すると彼女の周りから白い光が出てきた。 「人に化けたから命が尽きるのが早いのかな……。もうお別れですが、本当にありがとうございました。どうかお元気で……」 そう言うと彼女は月下美人になった。 そして、少しずつ枯れていったのだ。 それをただただ見ているだけしかできなかったが、助けた月下美人がお礼を言いに来てくれたのは嬉しく感じた。 君に出会えた夜はとても月が綺麗な夜だ。
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