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枯れた涙
私に父はいない。
正しくは、誰が父なのかもわからないほど、母は何人もの男性と関係をもっていた。
幼少期から毎晩のように違う男性が出入りする家で、私は祖母の家にいることのほうが多かった。
そんな祖母も中学3年の春に他界してしまった。
私の知る祖父は遺影写真だけだった。
結婚して間なしだったのか遺影写真の祖父は、とても若かった。
私にとっての母は祖母だった。
入園式も卒園式も、小学の入学式も卒業式も、中学の入学式も行事全てに祖母がいてくれた。
高校進路を決める面談のお知らせを母に渡す。
「何これ? 何で私が?」
タバコの煙が煙たい
「今までは、おばあちゃんが来てくれてたけど。」
「あのババァ、もっと長生きしてくれりゃ良かったのに!」
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