枯れた涙

1/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ

枯れた涙

私に父はいない。 正しくは、誰が父なのかもわからないほど、母は何人もの男性と関係をもっていた。 幼少期から毎晩のように違う男性が出入りする家で、私は祖母の家にいることのほうが多かった。 そんな祖母も中学3年の春に他界してしまった。 私の知る祖父は遺影写真だけだった。 結婚して間なしだったのか遺影写真の祖父は、とても若かった。 私にとっての母は祖母だった。 入園式も卒園式も、小学の入学式も卒業式も、中学の入学式も行事全てに祖母がいてくれた。 高校進路を決める面談のお知らせを母に渡す。   「何これ? 何で私が?」 タバコの煙が煙たい 「今までは、おばあちゃんが来てくれてたけど。」 「あのババァ、もっと長生きしてくれりゃ良かったのに!」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!