ケース①「視線を感じる部屋1」

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ケース①「視線を感じる部屋1」

「では早速頼みたいのが… ちょっと 資料を取ってくるよ」 そう言って 社長は 応接間から出て行った。 「……土方さんて…視える人だったんですね…」 社長がいなくなったので俺は 思い切って 土方さんに聞いてみた。 「視えるけど、祓えないのよ。 社長も視える人なんだけど祓えないの。 あぁそう。ちなみに 天田君のことはうちのミケさんからも聞いているわ」 「…ミケ…さん?」 ミケさん と言われてまず頭に浮かんだのは三毛猫だった。 冷たくなった 湯のみを持ち、すすっていると次の土方さんのセリフで俺は思いっきり お茶を吹き出した。 「化け猫のミケさんよ。 家で飼ってるの」 「ゲホ、ゲホ…!! うあ…もしかしてその ミケさん…シロ様っていう友達いない? 同じ化け猫の」 「そうよ」 うあー…… 意外と世間って狭いな… 「俺の個人情報、化け物ネットワークに流出してるのか…」 「でも いい噂よ? ミケさん曰く、結構強いみたいね天田君」 「強いかどうかは分かりませんが…」 そんな話、いや、こんな話が通じる人と出会うなんて今まで思ったこともなかった。 そう思ってると社長が ドタドタ と帰ってきた。
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