第2話「俺にとってのフツーの家事情」

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「今の世の中、仕事の出来ない奴ほど可愛がられるんだよ」 実際にそうだった。 俺がいくら努力しても成果は取り上げられ、ちょっとしたミスをすれば休憩室で頼んでもいないのにタバコの煙を吐きかけられながらの休憩時間を削っての説教。 仕事を初めからサボったりする奴は可愛がられて説教なしでおごりの呑みに誘われたりしてた。 もちろん、地方から集団就職してきたやつら同士。 話が合うんだろうな。 俺みたいな生活のためにとか、お年寄りのためにとかってのは爪弾きされる。 何をしてもエスカレートしていくいじめとパワハラに耐えられなくなって施設長に辞めるって言ったら必死に止められた。 「もっとお世話してほしかった」 とか、入所している老人達が言っていたらしいがそれでも俺は辞めた。 真面目なやつほどバカを見る世界だった。 真心込めてお世話してたら 「何時間かけてんだ!」 「サボってただろ!」 「テキトーにまいてこい!」 って怒鳴られたっけ。 今思い出してもムカつく。 説教中に投げつけられたタバコで火傷した腕を無意識にかきむしった。 b9fefa8f-d33b-4538-8d37-643552fa9f98
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