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 梅雨時期。  どこにでもある駅前の、いつだってある夕暮れ時。  パン屋の軒先で、コート姿の男が湿気を吸った紙袋を抱えている。  店から出てきた近所のメガバンクの行員が、傘を開こうとして男に並ぶ。 「雨よ降れ」  男は何気ない素振りで、手にしていた紙袋を行員に渡す。  パシャパシャと足元で散る水しぶきに気を取られ、誰もそれに気づかない。  行員は紙袋を抱え、ビニール傘を差して歩き出す。  言うまでもなく既に降る雨の下、ただ無言で往く。
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