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「みっちゃん、いい子でお庭で遊ぶのよ」  桃子は二人目の子供を身ごもりながら、実家の庭で遊ぶ3歳の我が子を玄関から眺めた。  道は桃子が子供のころから植わっている大きな松に何やら話しかけている。 「ぼーけんごっこ」  と聞こえた。  この年頃の男の子は何を見ても冒険なんだろうなと微笑ましく感じる。 「活発だし、大して手がかからない。今のところ、順調に育ってるよな」  庭で道の相手をしていた一成が立ち上がり、桃子のそばまで来て、お腹をなでた。 「道は何か空想上の人と友達になっているよな。俺はそう思う」 「そうね」  桃子もそのような感じがした。 「イマジナリーフレンドって言うのかしら、幼児の内は、そういうことが多いらしいよ」 「そうだったね」  一成は桃子のお腹に耳を当てながら答えた。 「もう、そうそうこの子は動かないわよ」  桃子は一成の短くカットした髪をなでる。  子供のころに憧れた職業は、歌手やファッションモデルだった。その道は無くなったけれど、今は何物にも代えがたい家族がある。  桃子は大きく深呼吸をし、幸せをかみしめた。
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