君の長話は

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 佐藤は、真夏の炎天下の中、公園のベンチに座りながら友人の吉森と話していた。いや、友人と呼んでいいのか微妙な距離感ではあるのだが。  というか、さっきから吉森が一方的にずっと話しかけてくるのである。正直言って、非常に面倒くさい。 「んも〜裕太(ゆうた)くんってば、全然美夢(みゆ)の話聞いてくれない!ちゃんと人の話は聞かなきゃ、メッ☆だぞ!」 「マジでどうでもいい。あと美夢、お前さっきからずっとうるさい。つーか寄るな。胸を押し付けるな。お互い大学生なんだし、もう少し自重しろ」 「も〜、裕太くんが話聞いてくれてないから、何話してるか忘れちゃったじゃん。えっと、美夢と裕太くんの思い出話だっけ?そうだよね。でさでさ、美夢が学校に遅刻しそうになって、でも担任の鬼センには怒られたくなかったから、食パンくわえてめっちゃ走ってたのよ。そしたらマンガみたいに、曲がり角でぶつかっちゃって〜」 「おい、無視するな」  無駄で長くて、とにかく面倒。そんな会話が延々と続いている。吉森がマシンガントークを始めてから既に3時間が経っていた。出会ったときから喋りだすと止まらない奴ではあったが、より悪化していないだろうか。  しかしそんなことは口にも出せず、佐藤はまたも延々と続けられる吉森の話を、右から左に流していくしかないのだ。  吉森と連絡がつき、こうして話を聞くのも3年ぶりだから、少しくらい付き合ってやってもいいだろう。そう思った過去の自分を殴りたい。夏の日没前特有の白い日射しが、佐藤の両眼を刺している。 「でもそしたら、ぶつかっちゃったのが超イケメンの男子、しかも同じ高校の制服だったの!」 「あー、うん。そうだな」  何回繰り返すんだよ、その話。そろそろキレるぞ。というか、さっきから話すのがはやすぎる。マジで口どうなってんだ。  もはや、佐藤は吉森の話をまともに聞いていなかった。
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