君の長話は

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「も〜、これは運命感じちゃったんだよね。同じ高校の男子で、しかもこんなイケメン⁉って。まあでも、裕太くんは知ってるでしょ。そのかっこいいイケメンな彼、(らるく)くんが、うちの転校生だったってこと。それに、美夢が結局その彼と付き合わなかったってこと」 「あー、うん。そうだな」 「そうなの!付き合わなかったの!だって彼、他校の女子と三股くらいしてたんだって。これ聞いて美夢ね、マジさいてーって思っちゃって〜」 「あーうん。そうだな」  佐藤は、もはやまともな相槌すら打っていなかった。それよりも、空の色の方が気になっていた。  あ、太陽が眩しい。さすが夏日。 「だからだよ?虹くんに廊下で壁ドンされて、俺と付き合えって迫られてもOKしなかったの。あんた美夢のタイプじゃないからダメ☆って断っちゃった。そしたら虹くん、ヒドいの!美夢の襟つかんで、カツアゲするみたいにドンってしてさ〜。ひどくない、裕太くん?」 「あぁうん。そーだな」    まともな相槌をうつことを求められた。話を聞いてやってるだけ感謝してほしいと、佐藤は思った。 「そしたらそしたら、後ろからね、誰かが虹くんの肩を叩いて、誰かなって思って見てみたら、そしたら裕太くんがいたの!も〜これは、運命感じちゃったんだよね!」 「あうん。ソーダな」  相槌がものすごく適当になってしまったことにも、吉森は気づかない。延々と話し続ける。  暑いからはやく帰りたいのだが。とっとと冷蔵庫のアイス食いたい。ソーダ味の棒アイス。 「ほんっとに、も〜裕太くんってばかっこよすぎる!出会った時のこと話してたら、また裕太くんのこと好きになってきちゃった☆どうしよ〜」 「阿吽。ソーダ菜」 「ねぇってば、裕太くん!ちゃんと聞いてる?裕太くんと美夢のステキな出会いのお話だよ?」 「へーへー」  本当に面倒くさい。そう思いながら、佐藤は延々と聞き流す。3年前も、気候や季節やこちらの用事を一切気にかけず、散々こうやって愚痴だの昔話だのを聞かされたものだった。 「それからね裕太くん、聞いてよ。美夢、ストーカーされてるかもしれないんだ」  回想にひたっている場合じゃなかった。  吉森の話が、唐突に転換した。
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