在り方。【314】

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急がねば。

いくら会社と社宅が目と鼻の先といえど、待たせてしまっている以上はのんびりしていられない。

本当は勤務時間内に渡してしまいたかった。
けれどあんな目立つものを持って出社する勇気はない。
翡翠(ひすい)さんへのお礼は紙袋に入れてごまかせたけれど、こちらはそういうわけにもいかなかった。

何故こんな大きなものを用意してしまったのだろう。もう少し小さなものでも良かっただろうに。

購入時に店員から向けられた好奇の眼差しも痛かったし後悔ばかりが募る。

購入してから結構な時間が経っているせいか、手に持つそれは少し元気がないように感じる。
やはりこれを選んだのは失敗だったかと思うが、買い直している時間はないしもう引き返せない。