1

7/7
前へ
/33ページ
次へ
青山の部屋の戸は全開だった。 靴も外に飛び出ている。 僕以上に急いで室内に入ったのだろう。 まあ、有難いが…雑さに少し驚きを隠せない。 「青山さ…「これこれこれ!これどっすか!!(ひしお)さん!!!!」 青山は僕の呼びかけにかぶせながら赤い服を突きつけてきた。 「…どうって言われても」 生憎僕は服の善し悪しがわからない。 「上一枚変えるだけでも大分『ふいんき』変わりますよ!」 「…そうですか」 雰囲気、な。 時間がないので突きつけられたそれを借りる事にした。 馬鹿が伝染らない事を祈る。 「…煙草臭い」 「それは勘弁して下さいよォ」 青山は苦笑いを浮かべる。 衣類だけでなく部屋そのものが煙草臭い。 僕より後に入室したくせに僕の部屋より汚いな。 ゴミ箱も山積みだし灰皿が吸殻で一杯になっている。 僕以上に物臭だな…と脱ぎ着しながら思った。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加