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青山の部屋の戸は全開だった。
靴も外に飛び出ている。
僕以上に急いで室内に入ったのだろう。
まあ、有難いが…雑さに少し驚きを隠せない。
「青山さ…「これこれこれ!これどっすか!!醤さん!!!!」
青山は僕の呼びかけにかぶせながら赤い服を突きつけてきた。
「…どうって言われても」
生憎僕は服の善し悪しがわからない。
「上一枚変えるだけでも大分『ふいんき』変わりますよ!」
「…そうですか」
雰囲気、な。
時間がないので突きつけられたそれを借りる事にした。
馬鹿が伝染らない事を祈る。
「…煙草臭い」
「それは勘弁して下さいよォ」
青山は苦笑いを浮かべる。
衣類だけでなく部屋そのものが煙草臭い。
僕より後に入室したくせに僕の部屋より汚いな。
ゴミ箱も山積みだし灰皿が吸殻で一杯になっている。
僕以上に物臭だな…と脱ぎ着しながら思った。
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