〝ただいま〟なんて言わない

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台所に消えた彼を見て、 思い出すのは、1ヶ月前の4月上旬のこと。 ちょうど、私が高校2年生になっだぐらいのころ。 彼は、なんの前触れもなく突然現れた。 しかも、どこから鍵を入手したのか、 ある日、帰宅したら家の中にいた。 その彼の名前が、 桑原京也(くわばらきょうや)さん。 名前以外は正体不明の男性。 何度聞いても、 年齢も、職業も教えてくれなくって。 しまいには、 『自分で思い出してみて』と返される始末。 返しが雑なあたり、 きっと、口からの出まかせだろうけど......... もし、知り合いだったら覚えてるハズだもん。 最初こそ、追い出そうとしたし。 何より1番怖いのは、〝鍵〟を持っていたこと。 〝鍵〟を持っていると、 追い出したところで勝手に入ってきてしまうから。 とにかく、 聞き出せそうな理由だけは聞いてみた。
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