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箱庭ガールズ
ちょっとここで、自分が子どもだった時のことを振り返ってみてほしい。
幼稚園から小学生、大体五歳から十歳くらいの時がいいかな。
そんな、自分がまだ子ども子どもしていた時に、周りに面倒見のいい優しいお兄さんお姉さんはいなかっただろうか。
親戚や近所の子、習い事の講師。どこかで出会ったこと、あるよね?
ニコニコしていて優しくて、頼れるお兄さんお姉さんたち。
よくよく考えたら、当時の自分と二つ三つくらいしか歳が変わらない子もいて、今さらながらに驚く。
自分もまだ子どもなのに、その父性母性、どっから湧いてんの? って。
何でこんなことを聞いたかというと――実は私、二十五歳にもなって、小学生の女の子への接し方で悩んでいたんだ。
木曜の午後三時半。朝から降り続く雨は、次第にその強さを増している。天気予報通りなら、夕方には大雨になるそうだ。
今日は仕事が休みなので、私はベッドに寝そべってダラダラしていた。スマホでSNSを見ていたら、唐突に部屋のチャイムが鳴った。
宅配業者以外で私の部屋を訪れる人なんて、あの子しかいない。
それにしても、私はシフトで働いているから休みの曜日はバラバラだというのに、よくめげずに来るものよ。
私はのっそりと起き上がると、あの子――藤野舞衣ちゃんを出迎えにいった。
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