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「おまえ、あくどいことをやり過ぎて、ついに命を狙われるようになったみたいだな」
丘野に支えられて青ざめた顔をしている永山に、笑いながら声をかける城木。
「な、何だよ、刑事さん達。俺は被害者だぜ? もっと優しくしてくれよ」
態度はふてぶてしい。しかし瞳は泳いでおり、内心ビクついているのは見てとれた。
「まあ、署に行っていろいろ訊こうじゃないか。ちょっと激しかったが、お話をする良いきっかけができたよ」
そう言いながら、丘野が永山を引っ張る。パトカーの到着地点まで促していった。
城木は連中が乗り捨てた車に歩み寄る。倉庫にめり込んでいた。古い建物で良かったと言うべきか。もし最新の造りだったら、衝突で車は大破し、あの2人は下手をしたら死んでいたかも知れない。
ミチミチミチ……。
何か不穏な軋み音が聞こえてきた。
ん?
危険を感じて城木は後退る。
次の瞬間、ドドウッ!! と音をたて倉庫が崩れ落ちるように倒れた。
危ないなぁ。まあ、何十年も前から手入れもされなかったんだろうから、仕方ないか。
夜の闇に漂う土埃を見上げ、そして、力尽きて瓦礫となった倉庫の残骸を見下ろし、城木はふうと息を吐く。
その時……。
あめ あめ ふれ ふれ かあさんが
じゃのめで おむかえ うれしいな
ぴっち ぴっち ちゃっぷ ちゃっぷ
らん らん らん……
どこからともなく、女の子の歌声が聴こえてきた。
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