4 雨

3/3
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
 その時……。  あめ あめ ふれ ふれ かあさんが  じゃのめで おむかえ うれしいな  ぴっち ぴっち ちゃっぷ ちゃっぷ   らん らん らん……  夜空に響くように、少女の歌声が聴こえてきた。  え?   突然のことに、男達の視線があちこちに向かう。歌い手を探している。  まさか……!  城木は目を見張った。雨ふり少女?  次の瞬間、そこだけなぜか、ザーッと雨が降り始めた。  「うわっ!」  銃の男が怯んだ。  その隙を逃さない城木。素早く動き、銃を左のショートフックでたたき落とす。更に男の顎をアッパーでかち上げた。  男は壊れた人形のように崩れ落ち、ピクリとも動かなくなった。  残りの2人は、抵抗するのを諦め項垂れる。  いつの間にか、雨はやんでいた。  パトカーの音が近づいてくる。丘野がすぐに対応してくれたのだ。  その後、3人が警官達に連行されていくのを見送ると、城木はまたホームへと向かう。  スマホが鳴る。三ツ谷からだった。  「やあ、沢田彩子さんの居場所がわかったよ」  「三ツ谷君、やっぱり君は最高だよ。タイミング良すぎ」  そう言いながら、城木は人形を抱き上げた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!