4 雨

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 舌打ちして目配せし合う2人。いったん肩を落としたが、それは芝居だった。素早く懐からナイフを取り出し、襲いかかってくる。  城木はその切っ先を避けると、フットワークも軽く男達の後ろにまわり込んだ。  振り向いた最初の男の鼻先に左ジャブを2発たたき込む。  もう1人が再度ナイフを繰り出してきたが、それをダッキングして躱し、直後に右ストレートを放つ。男はその場に倒れた。  最初にジャブで怯ませた男が体勢を立て直す前に、右フックを見舞う。その男も倒れ、2人そろって見上げてくる。  城木はこれ見よがしにその場でシャドーボクシングを披露した。そして2人を見下ろし……。  「まだやる?」  男達は呆然として動けなくなった。  だが……。  「動くなっ!」  後ろから野太い声がかかった。ちらりと振り向くと、銃を持った男が1人立っている。銃口は城木に向けられていた。  「チッ、もう1人いたのかよ……」  「遅いから様子を見に来たんだが、良かった。刑事さん、悪いが死んで貰うよ」  「俺が死んだら泣いちゃう女の子が、たくさんいるんだけどな」  肩を竦める城木。  倒した2人組が、よろよろと立ち上がる。そして銃の男の後ろに逃げる。  銃口は城木を向いたままで、いつ火を噴くかわからない。  どうするか?   考えを巡らせる城木。とはいえ、絶体絶命なのは間違いない。
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